ちらかりほうだい。中身はない。

とっ散らかりながら、すきなものはすきとエモる場所(稀におかん)

とっちら 東京近江寮食堂 に泣きました。

 
 
 
 
でた。(о´∀`о)
 
 
 
またこれ、久々シリーズですよ。
 
 
先日、ふらっと本屋に行った際にジャケ買いならぬ、装丁買いした本がありまして。
 
 
東京近江寮食堂    
渡辺淳子 著
 
です。 
このおにぎりの絵があんまりにも、美味しそうで、素朴であったたかくて。
一目惚れして手に取ったら、裏に書いてあるあらすじ。
 
それに心持っていかれた。
 
 
 
よかったら、ここにも同じ紹介文ありました。
 
 
メインの登場人物は、おばさんです。
59歳の定年退職を控えた妙子さん。
宿泊施設で管理人する安江さん。
おばちゃん二人の出会いから、お話が始まります。
 
 
あることがきっかけで、出会って全く美味しくない料理を出す安江さんにかわり、妙子さんがご飯を作るようになるんですけども。
 
なんだか、見えるんですよね。
 
おにぎりひとつでも、柔らかく握られてて口に入れたらお米が解けるのだろうな。
梅干しも、必要以上に赤くてものすごく塩っぱいだろう。おかかは、醤油が多めでご飯に染みてるんだろうな、とか。
 
厨房でテキパキ動く妙子さんの丸めな背中が見えるし、お味噌汁に湯気があるのも卵焼きの中の干しエビがピンクに散ってるのも。
 
合板の会議室みたいなテーブルに、緑とか赤の丸椅子が転がってるんだろうな、とか。
 
青い扇風機みたいな換気扇が、ゴロゴロ鳴ってるんだろうなとか。
 
でも、不思議なもんで。
 
美味しそうなご飯と、にこやかな妙子さん。
それを持ってしてもうっすら漂う孤独感があるんです。
 
吉本ばななの「キッチン」冒頭のような深夜の雰囲気のそのさき、早朝の影と陽が同居しているような雰囲気の本でした。
あと、「深夜食堂」のようでも。
 
 
出てくる人みんな優しくて優しくて仕方ないんですよ。
でも、みんないろんな問題抱えてました。
若い女の子から、紳士から、おばあちゃん、青年、社長‥本当にみんな。
 
そこに誰もが深入りしすぎず、適度に距離をもつ。
私はこんなに大変なんです、と言うことをみんなしないんですよね。
 
けども、人を否定するわけではなく。
 
ひとつ頼まれてほしい、と言うものはみんなで協力する。時が来れば歩み寄る。
ただし、無理ではなく。
自分のやれる範囲で。
 
 
その心地よさってものすごいもんでした。
 
 
別に大きな事件は起きないし、手に汗握るスペクタクルもない。
おばちゃん二人が、ちょっと頑張ったり考えたりして、周りの人達の言葉や態度から得たり泣いたりして。
ゆっくりゆっくり、日々が流れてくんです。
 
夫が家を出て10年。
定年を前に、夫から一枚のハガキが届いたことで、消印を頼りに東京に出てきた。
 
と、いうとなんだか重たい話のようなんですけども。
 
妙子さんは、本当に素直な人でした。
 
誰から投げられる言葉も、まず受け取るんですよね。時に嫌味に受け取ったりして腹をたてるけど笑
スルー力も高い。
でも、この妙子さんも後悔の塊で生きてる。
 
 
久々に、ジャケ買い当たりました。
 
文庫の方で買いましたけどこの装丁、本当好きです。見事にこのお話を表してると思う。
 
 
 
妙子さんは、いつも少々派手めな色の服を着ます。
レモンイエローだったり、バナナ色だったり。
 
途中、その理由に気がつくのは多分世代でしょう。
 
で、最後に
 
あぁ、ほらやっぱり。
 
 
ってなったとき、じんわりと涙が滲み出ました。
 
 
 
 
 
 
今日はちょっと丁寧に、ご飯を作りたいと思う。
 
そんな本でした。
 
 
 
 
以上ー
 
 
(´・∀・`)ノ(智にこんな風な、ただただまったりした映画に出てほしいと思ったりする。大泉洋が出てた、しあわせのパンとか、かもめ食堂のような。)