ちらかりほうだい。中身はない。

とっ散らかりながら、すきなものはすきとエモる場所(稀におかん)

とっちら 一行で深夜になる『キッチン』の冒頭と智の“日記”

 
 
 
以前、『坊ちゃん』の有名な一文‥‥ な話をしてましたけども。
 
私の中で最強な一文は、吉本ばななの『キッチン』です。
 
どエライ売れた本ですからね( ̄∇ ̄+)
 
今更なんだ?だと思うのですけど、初めて手にした時からずーっとずーっとこの一文を超えるものには、出会ってないのです。
 
 
私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。
 
この冒頭の一文で、一気に深夜の音のない世界に連れて行かれるんですよね。
 
句読点のない、一気に言い切ったかのような言葉なのに、どうしようもなく静かで。
 
古い家の台所に、タイルの壁。
薄緑色の冷蔵庫があって、すぐ横にある勝手口から月明かりが差す。
冷蔵庫に全体重をかけて、もたれかかって、ブーンっていう音をただ聞いてる。
 
そんな、もやのかかったような景色が一気に浮かぶんです。
 
たくさん小説は読んだけど、冒頭一文を覚えていて吸い込まれるってのは、いまだかつて『キッチン』だけです。
映画も邦画らしさがたまらんかった。
あの、すりガラス越しに世界を見るような、妙な浮遊感ってのは、邦画独特なもんで。
それが異様に似合うのが、このキッチン、だとおもう。
お話の流れは原作と違うけども、公園のシーンでの夜の雰囲気はものすごい原作そのままで。
ドキン、としました。
 
 
吉本ばななのは、他にもたくさん読みましたけど、手元に残してるのはこれだけ。
文庫で新しい装丁もあるけど、白地に黒の花のほうを。
 
久々、手にとって、
ふ、とね。おもうのですよね。
 
 
智さんは、作品を“日記”と呼ぶけども。
 
その感覚は、音楽聞いたらその時のことを思い出す‥‥っていうのに似てるのかなと思ってたんですよ。ずっと。
 
私が、チャゲアスの『GUYS』聞いたら塾の帰りにチャリで走り抜けた夜の景色を思い出すとか、フィッシュ&チップスの『ハーシー』聞いたら部室思い出すとか。
 
けど、もしかしたら少し違うのかなぁって、思いました。
何というか、景色よりも感情なのかなぁって。
 
『キッチン』のこの冒頭で、私はいっつも憂鬱になるんですよね(;^ω^A←読むなや。
でも、すごい静かな気持ちにもなるんです。
感情が、すぅーっと静かになるような。
それこそ深夜に。
 
ものを作るって、知らず知らずにその時の感情を整理してくような側面が、やっぱりあるんじゃないのかなとおもうのですよ。
絵、やフィギュアを作るその“期間”は、無心になればなるほど、そこにただこぼれ落ちたものが、溜まっていったんじゃないのかなぁ、と。
 
一滴、一滴、染み込むみたいに。
 
キッチン、の中で主人公の“みかげ”はそれを料理に無心になることに費やしたけど。
それととても似てる気がした。
 
 
 
 
 
 
あ、ニノちゃんの死神姿みて、
 
はー死神界マジであるんじゃないの?
と、思った方、多数じゃないですかね。
 
{ACC11929-BDBC-438F-9EA7-CE46887E225A:01}
{10EA6A05-7DE3-4184-952C-2ED0D259BF0A:01}
やべぇ(iДi)すき。