ちらかりほうだい。中身はない。

とっ散らかりながら、すきなものはすきとエモる場所(稀におかん)

3月のライオン 松永さんと零 安井さんと零

 

 

ホントはずっと書きたかったんですけど、

もろもろ合致せず(・ε・)

 

やっと、9話をゆっくり観まして。

 

3月のライオンの魅力は、たくさんの視点があると思うのですけども。

その中の一つにある、零くん×他棋士

ここが本当に魅力的だと思うのです。

 

零くんという「天才棋士」ではあるけど、コミュニケーション能力に長けていない男の子が対面する魔窟といわれるほどの濃い人の渦。

対局を通すことで見えてくる“人となり”っていうものに向かい合う、若者の姿っていうのがですね。

これまた、ぐっと来て大好きなんですよね。

大好き…というと、語弊があるかもしれないのですが…。

 

中でも、対照的な二人の棋士との闘いがありまして、なんともまぁ…深いなぁと思うわけで。

 

その一個目が、松永さん。

棋士歴40年のおじいちゃま。もう成績がギリギリのその方との戦いを前に、香子が零に言うんですよね。

「老いた犬の首を、締めに行くようなものだものね。」

 

零くんの中にある香子っていう呪縛は、根底にずーーっとはびこっていて、

その一言を跳ねのける余裕がないんですよね。

投げられた言葉を、そのまんま胸において考えてしまう。

 

40年もの間、棋士として生きてきた松永さん。

自分の人生の倍以上も、盤にしがみついて生きてきた人とは、どんなものかと考えを巡らせる零くんがね、すごいわかる気がするんですよ。

 

いま生きてる世界で長くいる人の想いや、見えるもの。

それが立派であってほしいっていう願いなんですよね。

自分の前を歩いている人は、自分の理想の通りに、精神的にも技術的にも長けていて、尊敬に値するような人であるべきだって。

 

そうしたら安心するんですよ。

「あぁ。この道は間違っていない。こうやって歩いて行けば、この人のように立派になれる。」

 

零くんもそうだったと思うんです。

 

けど、「想像もつかない…。」と思っていた松永さんの実像ってものは、

これでもかっていうほど人間臭いんですよ。

 

勝てる気がしなくて、神頼みだし。

おみくじに動揺して慌てちゃうし。

必死で練った策がまるで通用せず負けちゃって、態度悪く絡んだりして。

挙句、零にたかってウナギ奢らせるわ、酔っぱらって会津の歴史語る語る。(°∀°)b 

 

ところが零はそれを「撹乱か?」「心理戦??」と、上へ上へと見積もってくんですよね。

すぐ見抜くけど。( ゚∀゚ )ハァーハッハッ!!

 

ダメダメな松永さん。

振り回される零。

 

「尊敬させてよぉ」

この零のセリフが、40年も棋士やっといてそんなもんかよ!っていう、残念っぷりがにじみ出てますよ。

でもね。

 

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負けたくない、という狂おしいほどの気持ちじゃった。


松永さんのこの思いっていうのは、ものすごくまっすぐなんですよね。

長年の間に拗れ拗れて、もはや自分でも将棋が好きか??、そんな簡単な言葉で答えを出せなくなってしまっていることを、きっと零くんは“わかった”んだと思うんですよ。

 

自分がこうやって今いる道を歩んでいっても、

きっと今の自分と、あんまり変わらないんだろうなって。

 

技術を得ても、精神的に成熟していって凪の境地に行ったとしても。

自分は自分なんだと。

多分零くんが40年やっていったとしても、やっぱり零くんなんですよね。

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例え成績を多く残せなかったとしても、

しがみつく理由がくだらないものだと言ったにしても、

松永さんの根底にあるものの事を、零は理解したんだと思うんです。

 

 

その対照的なのが、この後の「安井さん」との対局ですよね。

アニメとしては10話だと思うので、今週末だと思うのですが、ちょっと先取ります。

 

「クリスマス」というものをあまり軽くとらえていないのは、ハチクロからのウミノの思想なのでしょうなぁ。

 

この安井さんに関しても、香子が嫌に絡みます。

離婚を控え、最後のクリスマス。離れることになった娘さんは、せめてクリスマスまでは一緒にいたい、と言った。

勝って帰るパパか、負けて帰るパパか。


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お酒の匂いをさせて対極にやってきて、場面が悪くなると一気にやる気を無くした安井さん。


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大切な物を、そんな簡単に手放さないでくれ。

 

この零の気持ちっていうのは、つまらん御託を並べながらも、必死に40年かじりついてきた松永さんを見たから出てきたのだと思うんですよ。

 

しかもそこに、同調したから。

 

お酒に逃げて、勝負を捨てて、大切な子供とのことからも逃げて。

 

生きるためには将棋しかなく、どこにも逃げる先なんかなかった零にとったら、

許しがたい存在だったのだろうなぁと。

 

いや…なんというか。

 

戦う理由なんかない、って自分の歩く道に努力する価値を見失ってた零くんにとって、

この安井さんは、「本当の自分を誤魔化した末路」だったのかもしれない。


勝ち負けすら投げやりになって、かといって大事なはずの盤にもしがみつきもせず、

負けたことを人のせいにして逃げる。

 

こうありたくない!!っていう思いは、結局のところつまり、

こんな人に負けたくないっていう、勝ちたい理由の一つであって。

 

自分が勝つことで、寂しいクリスマスを過ごす羽目になる親子を思う気持ちより、

勝つことを選ぶ。

きっとこうして、魔窟と言われる場所の住人がうまれるんだなぁ、と。

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この松永さんと安井さんの対比っていうのは、零くんの中で基礎みたいなものだと思うんですよ。

いや、でも。

誰にとってもそうかもしれない、と思うんですよね。

こんな風になりたくない、という安井さんにも、そこに至る物語があって。

その先のことがあって。

松永さんにも40年を超えたからこそ、のものがあって。

 

そこに考えを巡らせてしまうのは、香子の言葉なんですよね。

この香子の嫌みのようなセリフの数々は、次に零くんが片付けるべき感情なのかもなぁと。

 

愛憎、そのものの香子があんまりにも「らしく」描かれていて、

ぐっと胸つかまれます。

原作とこれほど忠実になぞらえたアニメもなかなかない中で、香子の異質さってのは、

際立ってますよ。

寂しさの塊みたいな香子が、次に現れるとしたらきっと零くんが陽だまりに包まれた時。

 

全力で壊しにくるんだろうなぁ。。。

 

では。

 

また来ます。