ちらかりほうだい。中身はない。

とっ散らかりながら、すきなものはすきとエモる場所(稀におかん)

とっちら 青の炎 『俺のすきなもの。』



こないだのTSUTAYAからの、二弾(笑)

『青の炎』
で、ございます。

DVDになってる映画を見るタイミングって、まぁ、つかめないことないですか?

ニノちゃんだから見たい、ってのはあるにしても。いつでも見れるって安心もあると、何故かタイミングと、思い付きと勢いがないと、なかなか。

なので、今回。
カードの更新の特典という、タイミングと、近頃ニノの芝居ごとが多くて期待値があがってる‥なんて勢いで、手を出しちゃいました。

で、まぁ‥見事に持っていかれましたね
・°・(ノД`)・°・  


私、以前からたまに言ってますが‥
ニノの芝居って、『‥って生き方を選んだニノ』って感じがすごくするんです。

そこには確かに、二宮和也ではない『役』が存在しているのだろうけど、でもニノがいるんです。
逆に智さんのお芝居は、智さんが見えない。

んー‥

どちらも憑依型だと思うのですが、
例えばスイカがあったとして。
それをもしゃもしゃと食べて飲み込んで、
体の一部としてしまうのがニノ。
その中身をくりぬいて、スポンと被ってしまって、どっからどう見てもスイカそのものになってしまうのが智。

でしょうか↑例の下手さ加減。

私の中で、『流星の絆』の有明功一が、かなりニノのパラレルワールド感すごかったのですが、並びました。

櫛森秀一。

このキリキリとした17歳の男の子の役を、ほぼ同世代のニノが演じたこと。
呼び寄せられたかのようなハマり具合に、鳥肌が立ちました。
この時期の「ニノミヤカズナリ」の、蜷川さん曰くの懐かない猫のような、その感じが。

この青さと息苦しさ。それから、目の光は、やっぱりこの時だからのもの。

以前、『母と暮らせば』のクランクアップ会見で、ニノが言った言葉がよぎりました。

まだ32年間ですが、その中のいろんな経験が邪魔をして、どう書けばいいのか自分で混乱するような…。
これではだめだと思い、書きなぐるように全力で初日の現場には立たせてもらいました。

これ青の炎を前にすると、突き刺さりますね。

役者として、「経験」を積むことはプラスになるんだとばかり思ってるけど。 
そうか。
積んだ分、失うものもあるのか、と。

今、ニノに、この役をやれっつっても…
見た目とか年齢とかそんなんじゃなく。
もう、別物になるはず。

あの時の一瞬だからこその、作品なんだと思うと。
自分にもあったはずの、そんな時代を遠くの方に見てしまいますね、なんか笑

さて。

青の炎の中で、はまったシーンがありまして。

まずは王道ですかね。
秀一と紀子の、水槽のシーン。

{565E5091-AF38-4A3A-9F45-2E8C7DCFF36E:01}

{34154828-3073-462D-B144-8F740BF79D2F:01}

水槽の青い光越しに、重なる手。 


{9576E23A-40C6-482A-B690-FD64387487A2:01}

口封じに友人を殺した後。
イライラが収まらず、怒鳴り散らして紀子に当たり散らし、もういないと思ったのに。驚く表情。


{B22E52DC-29F0-42EB-BD2E-687E79EADD7F:01}

わかってるよ、とばかりにかすかにうなずく紀子

{CE2DE458-6A1C-4BCD-BE0C-73F2E9E37E91:01}

{8377BBF7-0A46-401B-B162-3F16639A8F6B:01}
それをわかって、目を潤ませる秀一。
何かを言いたそうに、少し口を動かすのに。
言葉はでなくて、ごん、と水槽に頭ぶつけて。
涙堪えて。

{DD9B61B0-7DFF-407B-8A71-A6F53629C151:01}

紀子の“一ミリの笑顔”に、救われる。



水槽を隔てて、まるで別の世界にいるみたいなんですよね。
二人でいるのに、気持ちも伝わっているのに。
なのに、やっぱり秀一は一人で世界と戦ってる。

この水槽超えて、紀子にすがりはしないんです。

原作ではまぁまぁ、ちゃんとしたラブシーンなのですよ。ここ。←とうとう文庫買ってきた。

そんな“密着”で確かめようとしたものを、“距離”を挟んだ演出になってるのが‥ニノの櫛森くんって感じがすごいして、余計切ない。

それから。

この後の改札のシーン。

{95BE4056-0630-49FC-8B9C-765FE46FD428:01}

{91AB74E7-5B75-4709-AB36-E06911E57DFE:01}

人を殺したんだ、と告白するところ。
『そう』とだけ言う紀子。
肩に頭をこつん、と乗せて。

ここ、絶対目を合わさないんですよね。
すっごいこと言われてて、なのにすっごいそっけない返事してて。
なのに、目を合わさないの。
改札に消えていく紀子を、目で追いもしない。

この、お互いの想いをわかってるのに、近づけようとしないことが‥

終わりを予感させて。
ぐっときます。


それから。
やっぱりここ。

最後のシーン。
秀一が紀子のアドバイスどおりに、
テープに吹き込んだ、『俺の好きなもの』


ロードレーサー
ロードレーサーにのってるときに見える世界
母さんの手料理
遥香のふくれっ面
大門の下手くそな絵
紀子の裸のスケッチ
寝言をしゃべる犬
IWハーパー101
北京語で歌ってるフェイウォン
ジダンのボールさばき
クストリッツァの映画
トムウェイツの声
カリカリに焼いたベーコン
穴のあいてないドーナツ
頭が痛くならないかき氷
ウミガメの産卵
控えめに鳴いてるセミ
モノクロじゃないパンダ
そこの抜けたポケット
ぜんぜん痛くない注射
最後まで使い切った歯磨きのチューブ


ここから、聞こえなくなります。

これ、好きなものただ並べただけなようで、すごい秀一の気持ちや表情が見えるんですよね( ´(ェ)`)

きっと、あのガレージのベッドの上でいつものようにテープレコーダー片手に。
ほんの少し、躊躇いながら‥でも、と録音ボタンを押して。

最初は本当に好きなもの。

ロードレーサー…それから守ろうとしてる家族、恋人。

母の手料理‥原作にもありましたが、見た目はものすごくキレイだけど、味はそこそこって料理。きっと、日常のものだった妹の拗ねた顔。

紀子、とは言わないで、照れ隠しのように、紀子の裸のスケッチ。
それから、紀子つながりの寝言をしゃべる犬。

多分ここまでで、守りたかったものを言い終えたんでしょうね。

この後は、17歳の男の子である櫛森くんのただ「好きなもの」。
いきなり酒だけどε-(´∀`; )

クストリッツァの映画、とかブルース スプリングスティーンくらいの、しゃがれ声のトムウェイツが好き‥なんて言いながら、だんだん子供になってく。

かき氷、ドーナツ、ベーコン…。

そして、いつかの秀一が感動したんだろう「ウミガメの産卵」。
うるさいのは嫌だけど、控えめなら情緒ある蝉の声。夏。すごい、秀一っぽい。

そうやって走馬灯のように思い出を振り返ってることに、ちょっと照れて苦しくなったのか‥
モノクロじゃないパンダ、ってふざけたみたいに言って。
多分、ここらで頬あげてちょっと笑ったんだろうな。
歯磨きのチューブ…と言った後は、本編では音楽に掻き消えて、聞こえなくなる。

で、この後はあのラスト。


ですが。
当時の特典のカセットテープには、この続きがありました。某所、あざます(°∀°)b 
あ、Blu-rayにも入ってるとか。


ずっと続く青信号
誰も知らない近道
永遠に戻ってこない夏



好きなもの。の最後が、「永遠に戻ってこない夏」。
これを聞いてる紀子は、30年後の秀一を描いてる。

この対比の美しさと、儚さ。


とんでもなく、悲しくて切なくて重たくて。
残り続けてしまうだろうけど。

すごくいい作品だなぁ、と染み入りました。

それに。

{F80040B4-3209-4F3C-BE79-1BC67C820009:01}

好きなもの、を聞きながら睨むように涙をこらえる紀子の表情が、奈良さんの描く女の子のようで。

あの、ひねくれた感じの女の子はもしかしたら。
こんな風に、素直に出してはいけないものを、堪えてたのかなぁ。

なんてとこまで派生していって。

答え合せのような。
感情の記憶を、紐解いていくような。

とても静かな時間がやってまいりました。


公開当時。

舞台挨拶の後、同じ映画館に見に行ったというニノ。
驚くほどにガラガラで、興行成績としては振るわなかった。
それでも、あれよかったよ、と言って貰えることが多かった作品。

と、Blu-ray化の話を聞いて振り返ったニノ。

一個一個、繋がっていくんだね。


32歳の二宮和也の、新たな芝居ごとが山盛りの年末年始。

楽しみでなりません(・ω・)b