This is 嵐 を聞いた。
おそらく、めんどくさいくらい言ってるのだけれど、私はその年にリリースされたシングルのカップリングから、その年のアルバムの雰囲気を想像してひとりニマニマすることを、恒例行事にしていた。
リード曲が出れば「ほほーーぅ!!」とそこからさらに、ならばこうか?いや、こっち来るか??って、うふふ♡うふふしてたのだ。
で。
アルバムが手元に来たら。
歌詞カードは見ずに、最初の一音から最後の曲の音が消えるまで、ノンストップで走り抜ける。
この時間の至福さったら。
過去、いろんな小説家が「この上ない至福」をいろんな表現で言葉を尽くしてきたけれど。いつもぴったりくるものに出会えてないのは、それだけ毎度受け取るものが違ったのだろうとおもう。
そんなテンションなものだから、今回もうタイトルだけで鼻息は荒かった。シングル以外の収録曲のタイトルすら明かされないことにも。
この時期に、この今に「This is 嵐」と銘打ったアルバムが出るってんだぞ!?
「未完」ばりの強烈なメッセージを含むのか、いわゆる“次の一手”を香らせるものなのかと。
で、いよいよ宝箱をあけて。
先述の通り一通りの至福な時を終えて思ったのは、
なんだこのスッキリしたアルバム‥でした。
混沌が1ミリもない。
渦が一切ない。
すんっと澄み切った湖の辺りでキャンプファイアーしてんのかと思った。
完全なるパーリーナイトだ。
しかもシングルの収まりが良すぎる。
SHOW TIMEからのturning upがもうスコン!シンデレラフィットだし、そのあとクリスマスまで待てないっていうのよ?なにそれ。幸せがふわふわしてるじゃん。
綿雪みたいに降り積もるじゃん‥。
ってウキウキしたらwhenever you call がその雪と夜景背負いだす。
離れていてもそばにと甘くささやくあとに、いつか秒針の合う頃で、低音響かせてく。
これまで、例えば割と尖った曲があったとして、冒頭はゴリゴリきても、その曲の出口はいつも飲み込みやすくしてあった。最終的には嵐のキャッチーさがまとめあげてた。
もうオブラートなんてない。嵐初めましてなひとにもとっつきやすいよ!なキャッチ―さは少しばかりお布団の中にいた。寝てた。
嵐、知ってるでしょ?ってくらいの余裕かましてあった。
多分、IN THE SUMMER やwhenever you call のような曲があったことがあるのかもしれないけども。
そう思うとDo you‥?がリード曲なのは、あんまりにも素晴らしくないですか。
ニノもライナーノーツで言ってたけど、これは嵐だから歌える曲だし、背負える世界だと本当に思う。
ファンキーで派手に鳴るなかで、ちょっとお茶目に盛り上がれるって、ジャニーズの縮図のようだし、嵐の存在そのもののような曲だった。しかもそのパーリーのなかでほんのり香るアンニュイさとか、げだるげな色気。それができる唯一無二。
あんまりにも流れが良すぎて、アルバム聴き終わったあとに、ふっときらめきが空に上がってく感覚だった。
Are you Happy?は高揚感がふわふわと残ってた。
untitledはぐわんぐわんと頭の中でまわって、想いがまとわりついた。
そんな後のオリジナルアルバムが、まさに立つ鳥跡を濁さずで、ぽんっと水紋だけが見えてしまった。
なのにこれまで歩いてきた足跡が、確実にその後ろにあるって事も、わかってしまうから。
Japonismがなければ、あゆはぴに振れなかったと思う。あゆはぴがなければ、今のコーラスワークも生まれなかったのではないかと思う。
だから、
This is 嵐は確実に「これぞ、嵐」だった。
これがいまの嵐なんだ。
どの曲も、最初から最後まで「嵐」だった。ARASHIだったり嵐だったりするカラーや役割はあれど、不思議なものでずっと見えるのは5人分の背中でした。
アルバムが出る都度に、嵐から繋いでいくよ、連れて行くよ、音楽は終わらないよ
そう届けてもらってきたけれど。
このアルバムでThe music never endsが占める役割は、幸福だった。
song for youで軌跡を歌う先の、「未完」で問いかけた先の、何があるかわからなかった混沌が晴れて歌い上げる、最高なる幸福。
untitledで白く塗りつぶしたキャンパスの上に、きっと少しだけ、消す前より個々の色を濃いめに持った鳥達が描かれたのだと思う。
それぞれ飛び立つ前に、一声ずつ鳴いていったようだった。
飛んで行っちゃったら、またキャンパスは白くなるのかもしれないけど、でも。
This is 嵐(どーん)
と8角形なスタンプがガッツリ押されているから、この先は幸福で満ちてる。
安心していいよ。
嵐が全方位に幸福向けてるんだから。
好きな想いは、終わらない。