あまりにツボな本に出会いましたので。
お弁当の時間
と言いまして。
なんてことはないんですよ。
(って言ったら語弊あるとおもうけども。)
要は、いろんな街や職場にいき
「あなたのお弁当見せてください」
っていう。
そのお弁当食べながら、ちょっとお話しする。
それだけなんです。
けど、ものすごくじんわりと沁みてくるものがあるんですよ。
とても丁寧だと思うのが、その方の話し方や言葉の選び方をライターさんがそのまま使うこと。
インタビューものって、割と言葉を直すことが多いと思うんですよね。
例えば、昔製糸工場にいたという土屋さんは、蚕を「お蚕さん」と呼ぶんです。
それをそのまま載せてる。
だからこそ伝わってくる空気があって、とってもあったかいんですよ。
もちろん写真も素晴らしいんです。
お弁当をそのまま撮る。
ほんとそのまま。
「その人」のとなりに「お弁当」があって、ページをめくるとその人が何をしてる人かとお名前があり、お弁当を食べる光景とインタビューのページになるんです。
昼にお弁当の包みを開けて、なんてことない話をしながら食べてるあのホッとした時間のようで不思議とページをめくるのがゆっくりとなります。
中のコラムにありましたが、取材の対象は本当に普通の人たちなんです。
地図を広げ行ってみたいね、とその土地に出向きあちこちに電話をかけ「お弁当のかたはいらっしゃいますか?」と訪ねてく。
それもまだ、機内誌に載ることなど決まっていない頃から。
私、こういうのにとても弱いみたいです。
その方にしたら当たり前の日常ですが、私にはものすごく特別なようにも思えるんですよ。未知の仕事をしてる方々って。
どこか、風の街書いてた時のような気持ちになるんですよね。
途中の写真たち
なんなんですかね。
なんか泣きそうになるんですよ。
海女をなさってる方や、みかん栽培、指宿の砂蒸しで砂をかける方、駅員さんや損保ジャパンの方も。アイヌ歌舞手の方もいました。
みなさんがお弁当を広げながら、話すことがとても普通なんです。
でも、柔らかであったかい。
看護師兼馬の体重を計る係の方のインタビューにはお母さんのその方への愛情がさらにお子さんへ伝わってるんだなぁというお話がありました。
海女の方からは、昔から教わってきたこと、子供の頃不思議だったことが理解できるようになったこと。
手延べそうめん職人さん。
朝早いもので奥様がお弁当を用意できず、あとでお子さんとお弁当を届けてくれるそうで。
「なんか知らんけど、持ってきてもらった弁当ゆうのは、特別にうまいんですよ。なんか、はいっとるんかなぁ。」
と。きっとこの照れた顔で話されたんだろうなぁと思うとふわぁっとなるんですよね。
久々に出会った、幸せな本でした。
しかも4まで出てるそう。
これはゆっくりゆっくり楽しんでたいやつです。
カメラマンとライターはご夫婦なんですよ。
ご夫婦で、旅してお話を聞いて回ってます。
お弁当って、こんな風に伝わるんすね。
この阿部ご夫婦、しやがれの隠れ家に出て智とお話しないかなぁ。
どんな風に感じるのだろうって、聞いてみたいし、彼ならちょっと涙腺刺激されそうな気がします。
以上ヾ(=д= ;)