ちらかりほうだい。中身はない。

とっ散らかりながら、すきなものはすきとエモる場所(稀におかん)

メモ 忍びの国 想い溢れ溢れ書きなぐりメモ

 
 
こちら、ややこしい方のやつです。
 
ひたすら想い溢れ溢れで、想像も込みでややこしくなってます。
感情移入甚だしいです。
 
ただ、これが一番最初に思ったものなので‥二回、三回と見たらまた書き足すと思われます。
 
 
 
では。
 
 
 
忍びの国、観てまいりました。
下記は、ネタバレでしかないメモでございます。
 
観終わって、ずーっとふわふわと浮かんでたものをなんとか言葉にしたくて、この一番最初に感じたものをとにかく残したくて、微かな語彙をかき集めております。
 
原作は未読。
 
映画見終わったらすぐ原作読むぞ!
と、思ってたんですけど、
とりあえず、あと一回はまず観たい。
 
このふわふわを、もう一度理解し直して、
私なりに整理して、
それから原作読みたい。
まだ、ピースが転がったままで、やっと四隅が出来たくらい。
 
 
ネタバレでしかないです。
クライマックスのことも書いてます。
更には好き勝手なことを書いとります。
(妄想もほとばしってます。)
 
 
 
 
 
 
 
 
我が名は無門。
嫁さん以外怖いもん無し。
 
 
このキャッチの意味を知った時、ただただ胸が痛かった。
映画見終わって、急いで帰り、飾ったフライヤー見てハッとして泣けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
平兵衛との“川”を終えたあと、
 
 
『信雄!!』 
 
無門が初めて、“織田の小倅”ではなく名前で呼んだ。
 
この時、ピリッと指先が震えた。
 
何度もプロモーションで話題になった一騎打ち、川の始まり。
 
向かい合った当初は、威風堂々とした音楽がながれ、やがて無音。
刀が合わさる音、
息遣い、
布の擦れる音
足音、虎狼の声
 
‥だけになったかと思ったら、だんだんその場に似つかわしくなさそうな、ややポップな音楽が流れてくる。
 
あれ?っと思った。
ここでこの曲?
けど無門の目が、わからなかったものを少し掴んだかのような。憐れみみたいなのを帯び出して。
 
 
怒り狂う平兵衛のその理由を、理解し始めたからなのか。
喜怒哀楽を閉じ込めた無門の感情が、ほんの少しこじ開けられたからなのか。
 
無門が信雄の名前を呼んだのは、その後の事。
 
 
名前
 
 
と言うのが、忍びの国のキーワードの1つだったように思う。 
 
次郎兵衛を殺した時も、『お前が次郎兵衛か』と。同じ里にいるのに。その名にすら興味がなかった。
殺すのになんの感情もない相手。
平兵衛がその名を呼ばなければ、無門は向かい合う男が誰かも興味なかった。
 
殺すことに、なんの意味も持たない。
ただ銭のため。
 
そうして稼いだ銭は、受け取らなかったお国。
 
それが何故かわからない無門の、子供みたいな表情がこの時はまだ笑えたの。
かわいいのぉって。
  
 
 
 
 
 
 
お国は無門の名前すら知らない、とぼやく。
おそらく、お国も寂しかったのでは無いか。
 
自分に惚れ込み連れ去ってでも夫婦にと言う男が、自分には名前すら伝えない。
伊賀一の忍びだといいながら、毎日の百姓仕事にあげく物乞いで稼ぐとまで言う。
 
城をつくって得た銭は、にこやかに受け取ったお国は、無門にただただ真っ当に、と願ったのだろうな。
 
 
 
 
お国にしたら名前など、あって当たり前のもの。
一番最初に、相手に伝えられるもの。
そうして信頼を築くもの。
 
信頼を向けてもらえないと言う寂しさは、お国をどんどん頑なにしたのかも。
 
お国のそんな想いに、無門が気がつかないはずがない。
でも、
 
我が名は無門。
としか、言えない。
 
自分の名前など知らないから。
 
 
そんな彼が『信雄!』と名前を呼ぶときどんな想いだっただろう。
 
 
 
名前があり、その後光に苦しむ者
名前もなく、その孤独を抑え込む者
 
 
この対峙でみせた無門の不気味さは、ぞくっと来た。情けなく女子供さえ殺すと騒ぎ立てる信雄。そう言われて初めて、心をざわつかせた無門。
宝物である妻を、失う?というのがやっと少し浮かんだのだとおもう。
でもまだ実感もないから、不思議な?も飛んでるかのような。
もう細やかすぎるんだよ。
智の、無門の声色が。
 
 
川の後屈強な父親の陰で、
織田の次男、
織田の小倅
としか呼ばれず、自分は自分だと剥き出しに怒り『信雄だ!!』と何度も言い返す信雄が、無門に名前で呼ばれた。
 
あの瞬間、もう信雄は無門を、伊賀を討つつもりなんてなくなったのだろうとおもう。
 
 
 
 
無門には技術がある。それ故の強さもある。
けど名前がない事で、自己を持てない。
その寂しさを、恐らくやっと最期の最期にお国は理解した。
 
 
我が名は、無門
嫁さん以外怖いもの無し 
 
クスリと笑いを誘うキャッチのはずなのに、その意味を知った後では、あまりに切ない響き。
 
 
人間ではないと、言われた無門が
人間ではない、と呟き去る背中
 
自分がいかにバカだったかと、大切な人を亡くし、同じセリフを吐き去った無門と平兵衛。
 
この対比。
 
 
どこかで忍びの国は、レイアース的思想の話かと思ってた。
 
善のつもりが悪であり、悪と呼ばれても密かな善を紡いでる。
 
 
そのどちらでもあったし、どっちでもなかった。
 
人として成長してく群像劇‥ではない。
虎狼が人になって行く中で、同時にアイデンティティを持たない無門が、自分が生きることに意味を得たのだと思う。
人であることを捨てなきゃ生きられなかったのに、人でなくては守れなかったから。
 
それは人としての成長というよりは、閉じ込めていた『生』を吹き返したって事なのかもしれない。
 
途中、語り手が謎なシーンがいくつか。
これは誰?とおもったのだけど、それが解けた時に
 
ああ、なるほど。
虎狼の血は、繋がっていったのだな‥ って恐怖と、
でも、そこには
 
母がどれほど美しく、そして怖かったかと
子に伝え続けた無門がいたんだと。
 
そうしたらそれは、人が人を育てたって事だろうと。愛を持って。
 
ネズミとあるく姿に泣けた。 
もしかしたら、無門はネズミを連れ自分を父と呼ばせて、ネズミに名をつけてあげたのかもしれない。
 
 
無門は、二年間どこでどうしていたのだろう。
里を離れ、お国を弔って生きてたのだろうか。
どうして二年後にネズミを探しに来たのか。
許せなかったのだろうな、育った里を、伊賀を潰してしまうほど。
いや、ちがうか。
平兵衛との約束だったからか。
 
わかった、わかったよ。
もう、怒るな。
 
と言った無門がお国を見れないほどに、怒り狂うのだもん。
 
駆け寄ったお国を、ちらりとも見なかったあそこはハンカチ握っちゃったよ。
 
 
まだ得たいものがたくさん。
 
深読みする勇気、と言ってくれてたし。
遠慮なく溺れる所存。