『くまのプーさん』をご存知の方はいらっしゃるのかな。
ディズニーで有名な黄色いクマではなく。
その原作となった、AAミルンのお話です。
私、このプーさんがものすごく好きで。
EHシェパードの挿絵がすきで。
複製画の額や、タオルとかフィギュアとか、いろいろ持ってます。
で。
プーさんシリーズの中で、最後のお話があるのですが。
これ、何度読んでも泣いてしまうんですよ。
ざっと説明をしますと。
プーさんには仲間がいます。
ロバのイーヨーやぶたのピグレット。
そして、クリストファーロビン。
もともとこのお話は、ミルンが息子のクリストファーロビンと、彼のぬいぐるみ達を主人公に作ったお話なので、プーさんもロビンも実在したんですよね。
プーさんを抱っこすることもできないくらい幼かったロビンは、すくすく育ちます。
そして、学校に行く年になります。
ロビンはたくさんいろんなことを知っていき、プーさんに話して聞かせます。
でもプーさんはずっとずっと『プーさん』。
ある時、プーさんはロビンの話すことを理解しようとして気がつきます
『ぼく、ちゃんとわかっていないんだ。』
クリストファーロビンが、どこへ行ってしまうかは、わからないけれども、とにかく、そこから帰ってきたとき、クリストファーロビンはいろんなことを話したがるだろうが、そういうことを間違いなく飲み込むことは、ずいぶん難しい事だなと、考えました。
ここで、ぎゅっとなるんです。
大事な人の世界が広がる、それを理解できない。
そのことだけは、自分もわかる。
さらに、
だから、きっと。
と、プーは悲しく自分に言い聞かせたのです。
クリストファーロビンは、僕にはもう、何も話さないだろう。
でも、プーさん、強いんです。
何にも話してもらえなくても。忠勇であればいいのかしらと、考えました。
ただ、黙ってロビンの味方であろうと決めるんですよね。
その後の、ロビンとプーさんの会話が、たまらなくなるんです。
わかってくれるね?
わかるって何を?
あぁ、なんでもないことなんだ。
先日、ひとりじゃないさ、目指した未来へ、のお話を書いている時、ずっとこの二人の言葉が頭にありました。
こうやって、道が分かれてくんだな。
ロビンが、『もう、ちっとも来ないかも』と、いうのを飲み込んだように。
この歳になると、いろんなことがありました。
ものすごく人を好きになったことも、
びっくりするくらいの暗黒期も、
ただただ、夢中でのめり込んだとこも、
裏切られたことも、悲しませたことも。
幸せなことも、つかれたことも。
誤解も、すれ違いも。
薄く思ってたのに、実は助けてくれたのはその手だったことも。
友達になろうね?と口約束を交わすなんて、
もう全くない。
けど、わかろうとすることは、
わかってほしいと願うことは、
そこにある繋がりにおいては、
『なんでもないこと』
で、あることがある。
その繋がり。
多分。人生において、握りしめておかなくちゃいけないものなのだと、胸ん中に沁み入るんです。
なんでもないこと。
それをちゃんと持ち続けられるように、
一つ一つ丁寧に。
向き合おうと思ったのでした。
ちゃんちゃん。